


製品の概要
コクレアインプラント Nexaは、補聴器装用効果が十分に得られない両側性の高度難聴患者に対して、聴覚神経を電気刺激することにより音知覚を取り戻すことを目的として使用される人工内耳です。
保険上の評価
決定区分はC1です。保険償還価格は1,690,000円で、類似機能区分は「090 人工内耳用材料(1)人工内耳用インプラント(電極及び受信-刺激器)」です。改良加算5%が認められています。
企業希望価格は1,730,000円で、企業側は改良加算10%を希望していました。最終的には、構造等の工夫による長期使用・耐久性の向上として、5%の加算に整理されています。
既存技術・既存機器との比較
比較対象は、既存の人工内耳用インプラントです。本品は既存品の機能を引き継ぎつつ、アップグレード可能なファームウェア、電子チップ搭載によるデータ保存・処理機能などを追加した次世代品です。臨床上の有用性として、ダイナミックパワーマネジメント機能により、サウンドプロセッサとインプラント間の電力伝送・利用が最適化され、1回の充電での稼働時間延長が示されています。

MBEXの見方
この案件は、既存機能区分を基礎にしたうえで、製品改良がどこまで価格上の加算として認められるかを示す事例です。
企業側は複数の改良点を主張しましたが、最終的には長時間稼働型という定義追加に結び付く部分が中心的に評価されたと考えられます。機能追加が多数あっても、保険上の評価では、患者・医療者にとって明確に説明できる価値へ絞り込まれる傾向があります。
10%の改良加算を求めた結果5%の結果を得た点については無難なアプローチであったと思われますが、欲を言えば高度難聴の改善によるQOLの向上についてはより高い価格が与えられても不自然ではないと考えます。この論点は高度難聴の改善の価値というものはそれぞれにとって個別のものであり、絶対的なものではなく、価値の主張方法が考えられる事例と思われます。
自社製品への示唆
既存品の次世代モデルでは、薬事上・製品仕様上の改良点をそのまま列挙するだけでは不十分です。保険上の定義変更につながる改良点と、患者アウトカムまたは使用上の明確なメリットに結びつく改良点を選別する必要があります。ここで気づくべきポイントは客観的なデータで説明できる結果があろうとも、その価値判断は関係者の主観であり、そこへの働きかけのあり方を考えるべき事例といえます。
