


製品の概要
PrismGuide APOE 遺伝型判定キットは、全血より抽出したゲノムDNA中のAPOE遺伝型をリアルタイムPCR法で判定する体外診断用医薬品です。ARIA発現リスクの判定補助を目的とします。
アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症と診断された患者において、抗アミロイドβ抗体薬投与後のアミロイド関連画像異常の発現リスクを把握し、投与可否や治療方針の判断に用いられます。
保険上の評価
区分はE3です。保険点数は2,274点で、D006-17 Nudix hydrolase 15(NUDT15)遺伝子多型を準用しています。
企業希望では4,200点、すなわち改定前のNUDT15遺伝子多型2回分を希望していましたが、最終的には2,274点に整理されました。
留意事項案では、厚生労働省が作成する最適使用推進ガイドラインで定められた投与対象患者及び投与施設において、当該医薬品の投与可否や治療方針等を判断する目的で、患者1人につき1回に限り算定するとされています。
既存検査との比較
比較対象は、既存の遺伝子多型検査、NUDT15遺伝子多型、抗アミロイドβ抗体薬の投与前評価に関連する既存検査です。APOEε4保因状況とARIA発現リスクには関連があるため、検査結果は薬剤投与の可否、投与後の副作用リスク予測、説明・モニタリング方針に関係します。

MBEXの見解
本件は、アルツハイマー治療薬の最適使用と一体で検査の価値が整理されたE3事例です。検査単体の技術新規性よりも、治療薬の安全な導入にどのように必要かが中心論点になります。
企業希望点数は算定点数より高く、準用先をどの粒度で捉えるかによって点数が大きく変わることが分かります。APOE遺伝型の情報価値は高い一方で、保険上は既存遺伝子検査の枠内でかなり抑制的に整理されています。
また企業側の価格の主張には直接的に比較できないもののアミロイドPETと同様の検査を行える価値を言外に主張したのではないかと推察します。アミロイドPETの点数は12,500点であるため、それらと同等の主張が通れば、同じ点数は無理でも増額のバイアスは得られる可能性はあるかもしれません。
本品もアミロイド同様最適使用推進ガイドライン、投与施設、投与対象患者との結び付きが明確である戦略が伺えます。
自社製品への示唆
治療薬の安全性・適正使用に関わる検査では、薬剤側のガイドライン、投与施設要件、患者選択基準との接続を早期に設計する必要があります。保険点数交渉では、検査の技術的コストだけでなく、臨床判断に与える不可欠性を具体的に示すことが重要です。
